BDコラム#002 事業開発とエンジニアリングの二刀流!Space BDモモオが見る「宇宙商社」の強みとは?

「日本発で世界を代表する産業と企業をつくる」ことを掲げる宇宙商社Space BD。商社でありつつ、エンジニアリング機能を有するその独特の形態と強みについて、元総合商社出身でSpace BDの事業開発活動とエンジニアリング業務を横断して経験しているモモオが解説!

Interviewee モモオ(桃尾 一馬) / ローンチサービス事業本部プロジェクトマネジメント担当部長

2012年4月住友商事株式会社入社後、通信分野、再エネ分野におけるトレード、インフラシステム輸出、事業投資など、幅広いビジネスモデルを経験。2018年よりSpace BDに参画し、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出事業やその他の打上げ事業を推進。

 

 

Writer ハラ(原 万琳) / コーポレート本部

理系学問から避ける人生から、どうしても興味を抑えきれない宇宙の仕事に飛び込む。2019年よりSpace BDに参画し、バックオフィスを担当。

 

 

Interviewer リ(李 美亜) / ローンチサービス事業本部マーケティング部

2016年、ワシントン大学航空宇宙工学部卒業。前職にて、主に大手自動車OEM、電気メーカーのアカウントマネージャーとして、テストオートメーションを基軸とした開発戦略の提案から運用までを支援。2020年3月より海外営業担当としてSpace BDに参画。

 

日本の宇宙産業にコミットすることを決めた「宇宙商社」への転身

―まずはモモオさんのこれまでのご経歴を教えてください。
モモオ 大阪大学工学研究科で電気電子情報工学を専攻し2012年4月に住友商事株式会社に入社しました。入社と同時にインフラ部門に配属となり、営業として合計6年間在籍しました。6年間という短い間でしたが、モノの輸出やODA等の大型プロジェクトの輸出、投資先の業績管理や、風力発電の新規事業投資等、総合商社で経験できる幅広い業務に携わることができました。
2014年から3年間は、中国・北京に駐在し、大手日系衛星メーカーの衛星コンポーネントを中国の国家的プロジェクト向けに販売するなどの仕事をしていました。

帰国後、かねてより興味のあった宇宙への熱が抑えきれずにSpace BDへの転職を決意しました。2018年のSpace BD参画後は、衛星打上げサービスやISS利用サービスの事業の立上げ、営業活動、更にはお客さまへの打上げに向けた各種技術調整の支援(「ユーザーインテグレーション」)等、様々なことを横断的に経験してきました。

―総合商社を経ての宇宙商社へ転身ですが、モモオさんから見て宇宙商社Space BDとはどのような存在ですか?

モモオ  一般的に、商社と聞くとメーカーさんと組んで製品を海外に売り込むといったイメージが広くあるのではないでしょうか。私が考える総合商社と当社が掲げる「宇宙商社」の大きな違いの1つは、産業の枠にとらわれずに多様な事業へバランスよく投資していくか、宇宙産業にコミットしているかという点だと思っています。

総合商社は「ラーメンからミサイルまで」と表現されることもありますが、時代の流れに合わせてバランスを変えて投資をしていく「ポートフォリオ経営」と呼ばれる手法を取っています。一方、Space BDは宇宙商社として「宇宙の商業化にコミット」しています。宇宙の商業化にフルコミットしているからこそ、圧倒的な覚悟とスピードで事業展開を進め、実績を積み上げられる、これがSpace BDの強みです。自社エンジニアを積極的に採用しているのも、そのようなコミットメントの一つの表れです。

―商社の事業開発の側面だけではなく、エンジニアリング業務にも携わるようになったことについてどう感じていますか?

モモオ 商社で働いていた自分が今の自分を見たらびっくりしますね(笑)。私は理工学部出身ではありますが、宇宙の知見があったわけではなかったので、始めたときはもう必死でした。

私がSpace BDに参画したタイミングは、ちょうどJAXA初の国際宇宙ステーション(ISS)利用に関する民間移転第一号事業である「ISS日本実験棟『きぼう』からの超小型衛星放出事業(『きぼう』衛星放出事業)」の事業者選定公募において、Space BDがJAXA公認のサービスプロバイダーとして選定いただく直前でした。選定後、その時のメンバーで唯一の理工系出身であった私が、JAXAからの技術移転の受け皿として抜擢(無茶振り?)されたのです(笑)。

まさにゼロからのスタートでしたが、JAXAでそれまで「きぼう」衛星放出事業のプロモーションから、技術調整、打上げ、衛星放出まで全ての工程を担当されてきた赤城さんに当社にお越しいただき、各プロセスについて1年間レクチャーを受けました。レクチャーは週1で、朝から夕方までみっちり。赤城さんはド素人の私に本当に丁寧に教えてくれました。その1年間、レクチャーは録音して週末に全て聞き直して議事録に起こし続けました。毎回、議事録は10ページを超えてましたね(笑)。そのお陰で今は自信をもって技術調整等に取り組めています。粘り強く教えて下さった赤城さんにはただただ感謝です。

インタビュー中の桃尾一馬。