宇宙ビジネス×地域振興
内閣府と経済産業省による「宇宙ビジネス創出推進自治体」にも選ばれている山口県。今回は、山口県発で航空宇宙クラスターを立ち上げ全国・世界の航空宇宙産業にチャレンジされている、やまぐち産業振興財団の松田正樹さん(事業支援部 部長)にインタビューをしました。
山口県航空宇宙クラスターについて教えてください。
松田
「クラスター個別企業及び企業連携での一貫生産(複数工程連携)体制を構築し航空・宇宙・防衛分野の部品・製品への参入をすることを目的とし、私が在籍している公益財団法人やまぐち産業振興財団が事務局として運営しています。県内のものづくり企業が参画し、これまでに培った高精度加工技術を基に、新技術との融合で航空宇宙産業に貢献するグループです。クラスター企業が単に売上だけでなく利益をあげられるような高付加価値なマッチングの支援に加え、航空分野について人材研修を座学120時間、部品の製造研修を20時間行ったほか、板金・機械加工部品の一貫生産模擬研修も実施しました。現在は素材に関する勉強会も行っており、軽量化の観点からどの材料をどのように加工すると軽量化(付加価値向上)に繋がるかといった検討を行っています。クラスターに所属する企業は、航空機産業の認証資格であるJISQ9100を取得、もしくは取得しようとすることが求められ、製造技術に加え品質管理体制の構築・強化をしています。」
山口県航空宇宙クラスターの強みは何でしょうか。
松田
「航空機やエンジン部分には、加工の他に表面処理や熱処理等が必要で、そういった特殊処理技術を有する企業も加入しています。グループでこれらの処理を含めた加工を一度に連携して行う複数工程連携体制により、お客様の手間を省くことができるのも強みです。また国内外の航空・宇宙・防衛関連の展示会に出展し、PR及び販路開拓を積極的に行っています。宇宙についてはアメリカのユタ州で開催されるSmall Satellite Conferenceという学会併催展示会に去年・今年と2年連続で出展しており、来年もそのような海外の展示会に出展したいと考えています。」
クラスターの製品の使用実績について教えてください。
松田
「クラスターの精密な加工技術を基に、航空宇宙関連研究機関やスタートアップ企業様との取引に繋がっています。また既存の加工技術に加え、難燃性マグネシウムや複合材といった新素材、FRP・金属の3Dプリンティングといった新技術の導入により、宇宙産業や航空産業をはじめ、幅広く軽量化の提案をさせていただいております。展示会に出展すると予想外のメーカーさんから話をいただき、宇宙航空以外にも軽量化に興味のある業界はたくさんあり、軽量化を進めることでの他産業を含めた波及効果は高いと思っています。半導体製造装置や医療分野等、クラスター企業の本業への波及効果を考えると後々大きなビジネスにつながっていく可能性もあり、軽量化技術の深化・提案に注力しています。宇宙分野でも、3Dプリンティングについて提供した試作素材を使えるか検討してもらっている段階で、宇宙航空含むいろんな分野からお話をいただいています。また複数工程連携体制を活かして、クラスター企業5社が連携して、PR用の小型衛星模型を製作したこともあります。」
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